一人親方のなり方とは？事前にすべき準備と7つの公的手続きを紹介

一人親方になるには、開業届や青色申告承認申請書などの手続きが必要です。また、事前に事業用クレジットカードの作成や人脈形成など、独立前の準備も重要になります。

本記事では、一人親方の定義からメリット・デメリット、必要な公的手続きについて解説します。独立後の案件獲得方法までまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

一人親方とは？

一人親方とは、従業員を雇わずに自らの技術や技能で仕事を請け負う個人事業主です。建設業や運送業、漁業など特定の業種で働く人が対象となり、労災保険の特別加入制度を利用できます。

自分の裁量で仕事を選べ、時間管理ができる自由な働き方ができる点も特徴の1つです。仕事の単価や条件を自分で決められますが、安定した収入を得るには継続的な営業活動が必要になります。

一人親方になるメリット・デメリット

一人親方になる際には、メリットとデメリットを十分に理解した上で、独立の判断をすることが重要です。ここでは、具体的なメリット・デメリットを解説します。

メリット

一人親方の最大のメリットは、自分の裁量で仕事を選べる自由度の高さです。好きな仕事だけを受注でき、働く時間や休日を自分で決められるため、ワークライフバランスを重視した働き方を目指せます。。

収入面では、会社員時代より高い単価で仕事を受けられる場合もあります。中間マージンがなくなり、直接クライアントと交渉できるため、技術や実績に応じた適正な報酬を得やすくなります。

デメリット

一人親方の最大のデメリットは、収入の不安定さです。仕事がない時期の収入保証はなく、営業活動や案件獲得に自ら取り組む必要があります。

他にも、会社員時代にあった社会保険や有給休暇など、福利厚生がなくなる点も大きな課題です。デメリットに対する対策として、貯蓄や民間保険の活用、複数の取引先確保などが有効です。

一人親方になる前にすべき事前準備

一人親方として独立する前に、資金面と人脈の2つの準備が不可欠です。開業資金として最低でも数ヶ月分の生活費と事業運営費を確保し、事業用クレジットカードや車両ローンは会社員のうちに契約しておくことが賢明です。

人脈形成は独立後の仕事獲得に直結するため、業界内の知り合いを増やしておくことが重要です。独立前から名刺交換会や業界イベントに積極的に参加し、将来の取引先となる可能性のある人々との関係を構築しておきましょう。

一人親方になるための7つの公的手続き

一人親方になるには複数の手続きが必要で、それぞれ期限が設けられているため、計画的に進める必要があります。ここでは、具体的な公的手続きの概要について解説します。

個人事業開業届の提出

個人事業開業届は、事業開始から1ヶ月以内に税務署へ提出する必要がある重要書類です。個人事業開業届により税務署に事業の開始を正式に届け出ることになり、確定申告の際に必要な青色申告の前提条件となります。

現在はオンラインでの提出も可能で、国税庁のホームページからダウンロードした書類に必要事項を記入して提出できます。

青色申告承認申請書の提出

青色申告承認申請書は事業開始から2ヶ月以内、かつ青色申告をする年度の3月15日までに税務署へ提出する必要があります。提出することで、確定申告時に最大65万円の控除を受けられます。青色申告は帳簿の記帳が必要ですが、税制上の優遇措置が大きいため積極的に活用しましょう。

申請書の提出が遅れると初年度は白色申告になり、税制上の優遇を受けられなくなるため注意が必要です。

国民健康保険への加入手続き

会社を退職したら14日以内に居住地の市区町村役場で国民健康保険への加入手続きが必要です。会社の健康保険から国民健康保険への切り替えを行わないと、医療費の自己負担が増加するリスクがあります。

保険料は前年の所得に応じて計算され、所得が少ない場合は減免制度を利用できる場合があります。

国民年金への切り替え手続き

会社員時代の厚生年金から国民年金への切り替え手続きは、退職後14日以内に市区町村の役場で行う必要があります。この手続きを怠ると将来の年金受給額に影響するため、必ず期限内に完了させましょう。

収入が少ない場合は免除・猶予制度を利用できるため、経済状況に応じて相談するのがおすすめです。

一人親方労災保険の特別加入申請

一人親方労災保険は、業務中や通勤中のけがや病気に備える重要な保険制度です。通常、労災保険は事業主が加入できませんが、一人親方は特別加入制度を利用して加入できます。

保険料は業種によって異なります。万が一の事故に備えて、独立後は加入を検討しましょう。

屋号の商標登録（必要な場合）

屋号登録は法的な義務ではありませんが、ブランド保護や信用構築のために検討する価値があります。屋号を商標登録することで、他者による同一または類似の屋号使用を防げます。

登録手続きは特許庁に商標登録出願を行い、審査を経て登録されます。屋号を重要な事業資産と考える場合は、登録を検討しましょう。

一人親方になった後の案件獲得方法

一人親方として安定した収入を得るには、複数の案件獲得ルートを確保することが重要です。直接的な営業活動として、過去の勤務先や取引先への挨拶回りから始め、徐々に紹介や口コミで仕事の幅を広げていきます。

インターネットを活用した集客方法も効果的です。専門スキルを活かしたウェブサイトの作成やSNSでの情報発信、クラウドソーシングサイトへの登録なども行いましょう。

オンライン上での存在感を高めれば、新たな顧客層にアプローチできます。

まとめ

一人親方になるには、事前準備と公的手続きを計画的に進めることが大切です。開業届や青色申告承認申請書の提出など、必要な手続きを行えば法的にも安心して事業を始められます。

独立後は案件獲得が最大の課題となりますが、人脈形成やインターネット活用など複数の集客方法を組み合わせれば解決できます。一人親方としての自由な働き方を実現するためには、計画性と継続的な自己研鑽が不可欠です。

ぜひ本記事を参考にして、一人親方としての独立を目指してみてください。