建設業で人手不足問題が発生した理由とは？職種別の状況や対策方法を紹介

現在の日本国内では、少子高齢化や団塊世代の退職に伴い、労働力不足が問題視されています。建設業でも労働力不足は例外ではなく、喫緊の課題といえるでしょう。

このような労働力不足に対して、各業界ではさまざまな取り組みが行われています。建設業界においても、活用や働き方改革や外国人労働者の受け入れ拡大などの対策が行われています。

本記事では、建設業の人手不足の実態や原因、職種別の状況について解説します。人手不足による影響や具体的な対策もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

建設業で人手不足問題が発生している理由

建設業界の人手不足問題は深刻化しています。人手不足問題が発生している原因は、主に以下のとおりです。

• 少子高齢化と団塊世代の大量退職
• 若年層の建設業離れ
• 長時間労働と厳しい労働環境

まずは、建設業界で人手が不足している理由について理解し、適切な対策ができるようにしましょう。

少子高齢化と団塊世代の大量退職

これはすべての業界に共通していえることですが、少子高齢化と団塊世代の退職によって、労働者の母数が減っていることが挙げられます。特に建設業においては、熟練工の高齢化と若手の不足が顕著です。

なかでも、団塊世代の大量退職により技術継承が困難になり、現場の生産性低下につながることは大きな問題です。専門性の高い職種で深刻化しているのが現状で、若手労働者の確保と技術継承が急務となっています。

若年層の建設業離れ

建設業が3K（きつい、汚い、危険）のイメージを払拭できていないことも、若者の就業に影響を与える原因の1つです。建設業への古いイメージが定着してしまっていることで、業を志望する若手が少なく、労働者の確保に影響を与えています。

若年層の建設業離れを改善するには、建設業の魅力を積極的にアピールし、労働環境の改善を進めなくてはいけません。作業の効率化やキャリアパスの明確化など、若者にとって魅力的な職場づくりが重要です。

長時間労働と厳しい労働環境

建設現場の長時間労働と厳しい労働環境は、人材確保の大きな障壁となっています。不規則な勤務体系や屋外作業の多さが、労働者の心身に負担を与えています。

特に、休暇が取得しづらいなど、昔ながらの働き方に不満を抱える人が多いことも問題です。ワークライフバランスを考えた勤務形態など、現在の働き方にあわせた環境の構築が求められています。

建設業における職種別の人手不足状況

同じ建設業であっても、人手不足の状況は職種によって深刻度が異なります。

以下の表は、厚生労働省が発表する、公共職業安定所（ハローワーク）における求人、求職、就職の状況をまとめた統計資料です。求人の倍率をチェックすることで、数値が高い職種ほど、人手が足りていないという証明となります。

参考：一般職業紹介状況（令和5年1月分）｜厚生労働省

同じ統計調査によると、全産業のパートタイム労働を除いた有効求人倍率は「1.40」でした。この結果を見ると、やはり建設業での人手不足が深刻化していることが伺えます。

建設業の人手不足が引き起こす影響

建設現場の人手不足は、業務全体に広範囲な影響を及ぼしています。具体的な影響は以下のとおりです。

• 工期の延長と工事の遅延
• 建設コストの上昇
• 品質低下のリスク

詳しく解説します。

工期の延長と工事の遅延

工期の延長と工事の遅延は、現場管理の大きな課題の1つです。労働力の不足により、作業効率が低下し、予定通りの進行が困難になっています。

最終的には、建設会社の信頼性低下につながる可能性があるため注意が必要です。

建設コストの上昇

人手不足が発生してしまうと建設コストが上昇してしまい、プロジェクト全体の採算に影響を与えてしまいます。労働力確保のための賃金上昇や工期延長による追加費用により、全体のコストが増加してしまうのです。

最終的には、企業の競争力低下や利益率の低下を引き起こしています。そのため、コスト管理の徹底と効率的な施工方法の採用が急務となります。

品質低下のリスク

人手不足は、建設工事の品質低下のリスクを高めます。熟練工の不足などにより、精度の低下や不具合の増加につながる可能性があります。

品質管理の低下は、建設物の安全性や耐久性に影響を与える重大な問題です。厳格な品質管理体制の構築と、技術者教育の強化が不可欠です。

建設業の人手不足解消に向けた効果的な対策

建設業の人手不足解消のためにも、以下の対策を実施しましょう。

• 労働環境を改善する
• 外国人や女性労働者の受け入れを拡大する
• 建設業専用のマッチングサービスを活用する

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

労働環境を改善する

建設現場における働き方改革は、人材確保と定着率の向上につながる施策です。労働時間の管理や休暇を取得しやすい環境など、労働環境の改善が欠かせません。

具体的には、ICT技術を活用した業務効率化やフレックスタイム制の導入などが挙げられます。従業員の声を積極的に取り入れ、現場のニーズに合わせた改善を進めることが重要です。

外国人や女性労働者の受け入れを拡大する

外国人や女性労働者の活用は、建設現場の人手不足解消に向けた重要な施策です。さまざまな人材の受け入れにより、安定的に労働力を確保できるようになります。

一方、女性労働者の活躍推進には、現場環境の整備や育児支援制度の充実が求められています。多様性を尊重する方針やキャリアパスの明確化など、長期的視点での取り組みが必要です。

マッチングサービスによる協力会社の確保

業界として人手不足に対応するためには、会社同士の協力体制も欠かせません。自社の強みと協力会社が協業することで、不足している人材を補うことも可能です。

例えば、建設業専用のマッチングサービスの利用などが挙げられます。施工内容や求める技術力などにあわせてマッチングができるので、施工における不足をしっかりと補えるでしょう。

まとめ

建設業の人手不足問題は、業界全体で早めに解決すべき課題です。少子高齢化や若年層の離職、労働環境の課題など、複合的な要因に対処する必要があります。

具体的には、働き方改革や幅広い人材の活用など、働く環境を整えることがポイントです。また、協力会社との協業など、建設業全体の課題として考えることが求められます。

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