建設業の繁忙期はいつ?人材不足のリスクや乗り切るための方法を紹介

結論として、建設業の繁忙期は主に9月末と12月から3月末ごろです。これは、企業の決算期や新年度開始に合わせて工事が増加し、決算前に工事を完了させたいという依頼が増えるためです。
一方で、特定の期間に工事の依頼が集中すると、人材不足に陥る可能性もあります。適切な納期や人員を確保できなければ、大きなトラブルにつながることも。
今回は、建設業の繁忙期における具体的な課題と対策、そして繁忙期を乗り切るための方法について詳しく解説します。

建設業の繁忙期は9月末と12月から3月末

冒頭でも解説した通り、建設業界の繁忙期は主に9月末と12月から3月末です。
9月末は中間決算、3月末は年度末決算と、それぞれ企業の重要な決算を迎えるタイミングでもあります。そのため、決算前に工事の完了を目指す需要が高くなり、結果的に建設業界の繁忙期につながっているのです。
特に、12月から3月末にかけては、新年度からの施設利用開始を目指す案件が増加します。公共工事・民間工事を問わず、年度内完工を目指す工事が重なり、人材や資材の需要が高まります。
閑散期は主に4月から6月
一方で、4月から6月は建設業界の閑散期にあたります。
その理由は、新年度の予算編成や計画策定の時期と重なるため、具体的な施工が進まない傾向があるためです。また、梅雨時期による天候不順で屋外作業が制限され、工事の進行速度が遅れることから、施工を避けるケースも見られます。
閑散期は、新規案件の着工が少なく、比較的余裕を持った工程管理が可能です。この時期を活用して、社員教育や設備メンテナンス、次期繁忙期に向けた準備をすると良いでしょう。
建設業の繁忙期における人材不足のリスク
建設業の繁忙期における人材不足が発生すると、以下のようなトラブルにつながる可能性があるため注意が必要です。
- 長時間労働による若手の早期離職
- 技能者の高齢化による後継者不足
- 工期遅延や建設コストの上昇
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
長時間労働による若手の早期離職
繁忙期の長時間労働や休日出勤は、心身の負担を増加させる可能性があります。結果として、離職を考える従業員も増え、業界の人材不足をさらに深刻化させる一因となり得ます。
特に、ワークライフバランスを重要視する傾向のある若手従業員にとって、労働時間の増加は大きな問題です。
繁忙期に業務量が増加することは、建設業のみならずどの業界でも起こり得ることです。しかし、体力を消耗する傾向が高い建設業では、長時間労働による疲労もより大きくなります。
適切な業務配分、休暇取得の促進、技術指導体制の整備などが求められます。
技能者の高齢化による後継者不足
建設業界では、熟練技能者から若手への技術継承が大きな課題となっています。熟練技能者の高齢化により退職者が増える一方で、若手の確保・定着が進まず、技術の継承先が不足しているのです
技術継承が進まなければ、現場の技術力や作業効率が低下するリスクがあります。
技能者の確保と育成には、長期的な視点での人材育成計画だけでなく、魅力的な労働環境の整備も不可欠です。
工期遅延や建設コストの上昇
建設現場での人材不足は、作業効率の低下や品質管理の問題を引き起こし、工期遅延のリスクを高めます。また、作業員の確保が困難になると、人件費の上昇や外注費用の増加につながります。
工期遅延は、追加の人員配置や残業時間の増加を招き、結果的に建設コストを押し上げる要因となります。人材不足による影響を最小限に抑えるためには、ICT技術の活用、作業の効率化、適切な工程管理などが重要です。

建設業の繁忙期を乗り切るための方法

建設業の繁忙期を乗り切るには、計画的な準備と体制構築が不可欠です。具体的な方法として、以下の点が挙げられます。
- 適正な工期を設定する
- DXの導入による業務効率化を図る
- 他部署との連携体制を構築する
詳しく解説します。
適正な工期を設定する
工期設定支援システムなどを活用し、現実的な工期計画を立案することが重要です。発注者との事前協議を通じて、週休2日(4週8休)の確保を含めた適切な工期設定を提案しましょう。
工期の適正化により、作業員の健康維持と品質確保の両立を目指します。工期設定時には、天候や資材調達期間なども考慮し、余裕を持った計画を立てることが大切です。
DX導入による業務効率化を進める
IoTセンサーやAI技術を活用した施工管理システムなどを導入することで、現場作業の効率化が実現できます。デジタル技術の活用により、進捗管理や品質管理の負担軽減も可能です。
施工現場のデジタル化は、リアルタイムでの情報共有と迅速な意思決定にもつながります。計画・調査・設計段階から3Dモデルを活用するBIM/CIMの導入により、設計から施工まで一貫した管理体制を構築することも重要です。
他部署との連携体制を構築する
部署間の情報共有システムを整備し、円滑なコミュニケーション環境を確立しましょう。設計部門と施工部門の連携を強化することで、手戻りのない効率的な作業進行が実現します。
各部署の業務状況を可視化し、人員配置の最適化を図ることで、業務の平準化を進めることも可能です。緊急時の応援体制を事前に構築し、部署を超えた柔軟な人材活用を可能にしておくことも有効です。
まとめ
今回は、建設業における繁忙期と、人材不足について解説しました。建設業は、企業などの決算期に需要が高まる傾向があります。繁忙期に合わせて、しっかりと工事ができる環境を整えましょう。
一方で、繁忙期における人材不足は、建設業界にとって大きなリスクです。今回紹介した内容をもとに、しっかりと対策するようにしましょう。
