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【令和7年3月から適用】公共工事設計労務単価とは?建設業界への影響も解説

令和7年3月から、改正後の公共工事設計労務単価が適用されました。建設工事の積算業務では公共工事設計労務単価を用いるため、建設業界で働く方にとっては押さえておきたい内容ではないでしょうか。

この記事では、公共工事設計労務単価の概要や改正される理由、建設業界への影響について解説します。

公共工事設計労務単価の理解を深めることで、企業の信頼向上や担い手の確保につながるので、ぜひ最後までチェックしてみてください。

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公共工事設計労務単価とは

「公共工事設計労務単価」は、公共工事の工事費を積算するために用いられます。毎年、公共工事に携わる労働者の賃金(県別)を職種ごとに調査する「公共事業労務費調査」を実施し、公共工事設計労務単価が決められます。

公共事業労務費調査の対象工事は、農林水産省・国土交通省・都道府県と政令指定都市等所管の公共工事です。元請・下請を問わず、51職種のすべての労働者を対象としています。

公共工事設計労務単価は、以下の4つで構成されています。

「公共工事設計労務単価」=「基本給相当額(日額相当)」+「基準内手当(日額相当)」+「臨時の給与(賞与など)」+「実物給与(食事など)」

ただし、現場管理費や一般管理費等の諸経費は、公共工事設計労務単価に含まれていないため、積算時は注意しなければなりません。

【参照】国土交通省|公共事業労務費調査・公共工事設計労務単価について

【令和7年3月から適用】公共工事設計労務単価が決定

令和7年2月14日、令和7年3月から適用の公共工事設計労務単価が、国土交通省から公表されました。全国全職種における公共工事設計労務単価の平均値は、平成25年度から13年連続で上昇しています。

令和7年度は、全国全職種における公共工事設計労務単価の平均値が24,852円で、前年度比6.0%の引き上げです。平成25年度と比べると、全国全職種における公共工事設計労務単価は1.6倍以上です。

主要12職種における公共工事設計労務単価の平均値は23,237円で、全職種と同様に前年度比5.6%の引き上げとなりました。

令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について

【引用】国土交通省|令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について~今回の引き上げにより、13年連続の上昇~「令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について」

令和7年3月から適用となった公共工事設計労務単価は、2024年度から適用となった時間外労働の上限規制も踏まえ、必要な費用を反映したものとなっています。

【参照】国土交通省|令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について~今回の引き上げにより、13年連続の上昇~

公共工事設計労務単価が改正される理由

公共工事設計労務単価が改正される理由は、最新の労働市場の実勢価格(時価)を適切かつ迅速に反映するためです。建設業界の人材不足や資材価格の高騰など、建設市場の変化の影響を受け改正されます。

政府の最重要課題として「賃上げ」を挙げていることも、公共工事設計労務単価の改正に関連があるといえます。建設業界の担い手確保のために、今後も技能や労働環境にふさわしい賃上げを行うことが重要です。

令和7年3月から適用となった公共工事設計労務単価は、時間外労働の上限規制に対応するために必要な費用を反映しています。

【注意点】公共工事設計労務単価に含まれないもの

公共工事設計労務単価に含まれるものと含まれないものがあります。公共工事設計労務単価に含まれるものは「労働者本人が受け取る賃金」で、含まれないものは「事業主が支払う必要経費」です。

公共工事設計労務単価に含まれるものと含まれないものは、下表の通りです。

公共工事設計労務単価に含まれるものと含まれないもの

含まれるもの

  • 基本給相当額(日額相当)※個人負担分の法定福利費
  • 基準内手当(日額相当)
  • 臨時の給与(賞与など)
  • 実物給与(食事など)

含まれないもの

  • 事業主負担分の法定福利費
  • 労務管理費
  • 現場作業にかかる経費(安全管理費など)

時間外労働や休日労働、深夜労働などの割増賃金も、公共工事設計労務単価に含まれません。

下請代金に必要経費を計上しないことや必要経費を値引くことは、不当行為に該当します。公共工事設計労務単価に含まれるものと含まれないものについて、事業主は正確に把握した上で積算を実施することが重要です。

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公共工事設計労務単価の改正による建設業界への影響

公共工事設計労務単価の改正による建設業界への影響は、以下の通りです。

建設労働者の賃金水準が向上

公共工事設計労務単価の改正は、建設労働者の賃金水準の向上につながります。公共工事設計労務単価の改正は、最新の労働市場の実勢価格(時価)を適切かつ迅速に反映するために実施されます。

平成25年度から令和7年3月の公共工事設計労務単価(全国全職種平均値)は、13年連続で上昇。建設就業者の減少や資材価格の変動などの建設市場における変化は、公共工事設計労務単価に影響を与えます。

政府の最重要課題である賃上げに対応するのも、公共工事設計労務単価が上昇する理由の1つです。今後も技能や労働環境にふさわしい賃上げを行い、担い手確保に努める方針です。

公共工事設計労務単価の改正によって、技能者は適切な賃金を受け取れるようになります。積算に関する知識を習得するだけでなく、公共工事設計労務単価の改正などの最新の情報を社内で共有する取り組みも重要です。

担い手の確保と人材不足への対応

担い手の確保と人材不足への対応の観点からも、公共工事設計労務単価の見直しは有効といえます。

建設業技能者数は、以下のように減少しています。

  • 平成9年:455万人
  • 平成22年:331万人
  • 令和5年:304万人

建設業技能者は、26年間で151万人減少しました。さらに、建設業界の課題の1つが建設業就業者の高齢化です。令和5年における建設業就業者は、55歳以上が36.6%、29歳以下が11.6%です。今後は多くの技能者の引退が見込まれるため、技術承継が難しくなります。

公共工事設計労務単価の改正による賃上げが実施されると、技能者が安心して働き続ける環境を整備できます。人材確保や離職防止を実現できれば、担い手確保や人材不足への対応につながるでしょう。

公共工事設計労務単価の改正は、技術者の確保にもプラスに働きます。技能者からの信頼構築によって持続可能な建設産業の形成につながり、若手人材が希望を持って働けるようになるでしょう。

【参照】国土交通省|改正建設業法について~改正建設業法による価格転嫁・ICT活用・技術者専任合理化を中心に~

時間外労働の上限規制への対応

時間外労働の上限規制に対応できるように、公共工事設計労務単価が改正されました。

時間外労働の上限規制が適用され、建設現場では週休2日を実現するための取り組みを進めています。しかし、技能者は日給で支給されるのが一般的です。

時間外労働の上限規制を考慮されていない賃金水準のままでは、実労働時間が減ることで、技能者の収入減少に直結してしまいます。建設業界で安心して働き続けられず、技能者の大量離職や若手人材の不足が起こる恐れもあります。

時間外労働の上限規制をふまえた公共工事設計労務単価の改正は、技能者が安心して働き続ける環境整備ができたといえるでしょう。

ただし、時間外労働を減らすために企業としてもやるべきことがあります。生産性向上施策に取り組み、限られた作業員でも最大の成果を上げる仕組みを整えることが大切です。たとえば、BIM/CIMの活用やICT建機による施工など、建設現場全体にICTを活用することも効果的です。

まとめ

この記事では、公共工事設計労務単価の概要や改正される理由、建設業界への影響について解説しました。

建設業界の人材不足や資材価格の高騰、時間外労働の上限規制など、建設市場の変化の影響にともない、公共工事設計労務単価が改正されます。今後も、建設市場の変化をふまえた改正が実施されるでしょう。

建設工事に関わる企業は、公共工事設計労務単価の改正内容を理解する必要があります。不当行為を避けるだけでなく、担い手の確保や魅力ある企業として存在し続けるために、公共工事設計労務単価についても目を向けることが重要です。

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