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大規模修繕工事の市場は拡大?工事の内容や目的、注意点も解説

マンションが完成してから年数が経過すると、当初の性能が徐々に低下します。大規模修繕工事は、本来のマンションの性能を回復するために実施されます。

ただ、これまで大規模修繕工事に関わったことがないと、工事の詳細を把握できていない方もいるかもしれません。

この記事では、大規模修繕工事の内容や目的、注意点を解説します。今後、大規模修繕工事の市場は拡大するのかについてもデータをもとに紹介しますので、新たに大規模修繕工事に参入したい方、自社の技術を活かせる工事は何かを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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マンションの大規模修繕工事とは

マンションの大規模修繕工事とは何かを解説します。

大規模修繕工事の概要

マンションの大規模修繕工事とは、新築時のマンションと同等の性能に回復させる工事で、マンションを長期的に維持する目的で実施されます。

コンサルタントや施工会社ではなく、管理組合が主体となって大規模修繕工事を進めるのも特徴です。

また、修繕の種類には以下の2種類があります。

修繕の種類

内容

補修・小修繕

劣化の発生、性能や機能の低下のたびに実施

計画修繕

一定の年数が経過するごとに計画的に実施

参照:国土交通省|改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(令和3年9月改訂)

「大規模修繕工事」と「大規模改修工事」の違い

国土交通省「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(令和3年9月改訂)」では「改修工事」を以下のように解説しています。

なお、一般的には、性能・機能をグレードアップさせる工事のことを「改良工事」といい、修繕及び改良により建物全体の性能を改善する工事のことを「改修工事」といいます。

引用:国土交通省|改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル(令和3年9月改訂)1.3 改修の重要性(1)マンション性能のグレードアップを図る改修の重要性

つまり、修繕工事・改修工事・改良工事の違いは、以下の通りです。

工事名

概要

修繕工事

建物を新築時と同等の性能に回復させる工事

改修工事

修繕や改良により建物全体の性能を改善する工事

改良工事

建物の性能・機能をグレードアップする工事

言葉は似ていますが、それぞれの工事を実施する目的は異なります。

マンションの大規模修繕工事を実施する目的

マンションの大規模修繕工事は、主に以下の目的で実施されます。

住民に安全で快適な暮らしを提供する

マンションの大規模修繕工事は、住民に安全で快適な暮らしを提供する上で欠かせない工事です。時間とともに建物のあらゆる部分の劣化、性能や機能の低下などが進みます。

たとえば、大規模修繕工事の内容の一つが外壁の塗装です。大規模修繕工事における外壁の塗装は、美観性だけでなく耐久性や防水性の向上も目的としています。雨漏りや外壁材の剥落などを防止できるため、安全性や快適性につながるでしょう。

マンションの資産価値を維持する

大規模修繕工事を実施すると、マンションの美観性や性能や機能を回復できるため、資産価値の維持にもつながります。中古マンションの市場において、定期的な修繕がマンションの価格に大きく影響するといわれています。

国土交通省の「中古マンション市場価格に影響するマンション管理項目とその効果 2023年10月26日」における、中古マンションの市場価格を安定させる効果を持つ管理項目の考察と結論は、以下の通りです。

中古マンションの市場価値を安定させる効果を持つ管理項目

中古マンションの市場価格を安定させる効果を持つ管理項目は、以下の4つです。

  1. 美観・環境保全への投資
  2. 管理費・管理組合運営費を潤沢に保つ・必要な決議の実施
  3. 未収金の減少・管理体制における健全性の保証
  4. 適切な修繕のコンスタントな実施

修繕の一つである大規模修繕工事の適切な実施は、中古マンションの市場価値を安定させる要因といえます。マンションの大規模修繕工事は、長期的な資産価値を守るための重要な工事です。

マンションの大規模修繕工事の内容

国土交通省の「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」では、大規模修繕工事の種類を以下の3つに分類しています。

  • 建築系工事
  • 設備系工事
  • その他工事

それぞれについて解説しますので、詳しく見ていきましょう。

建築系工事

建築系工事には、以下の種類があります。

  • 屋根防水
  • 床防水
  • 外壁塗装
  • 外壁タイル
  • シーリング工事

大規模工事の回数に関わらず、建築系工事はマンション大規模工事全体の60%程度を占めています。建築系工事の種類別に見ると外壁塗装や床防水の割合が多く、特に1回目の大規模修繕工事では外壁塗装だけで全体の40%を超えることもあります。

屋根や床の防水については防水工事業者、外壁塗装については外壁工事業者など、専門工事業者の協力が欠かせません。

設備系工事

設備系工事には、以下の種類があります。

  • 給水設備
  • 排水設備
  • ガス設備
  • 空調・換気設備
  • 電灯設備等
  • 情報・通信設備
  • 消防用設備
  • 昇降機設備
  • 駐車場設備

設備系工事は、マンション大規模修繕工事全体の1〜2%程度です。マンション大規模工事の回数を重ねるほど、設備系工事の割合は高くなっています。

その他工事

その他工事には、以下の種類があります。

  • 外構・付属施設
  • 仮設工事
  • その他工事

その他工事は、マンション大規模工事全体の25%前後です。その他工事の種類別に見ると、仮設工事の割合がもっとも多くなっています。

外構については外構工事業者、仮設工事については仮設工事業者など、専門工事業者の協力が欠かせません。

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マンションの大規模修繕工事の発注における注意点

マンションの大規模修繕工事の発注時は、不適切な働きかけを行う設計コンサルタントに注意しましょう。

平成30年5月11日、国土交通省はマンション大規模修繕工事に関する調査を実施し、内容を公表しています。

マンションの大規模修繕工事の発注において、一部の設計コンサルタントによる不適切な工作が問題となりました。この調査は、こうした問題への注意を促し、工事が適正に実施されるよう促すことを目的としています。

不適切な工作を行った設計コンサルタントは、管理組合やビルの所有者など発注者に対して民事責任が問われる可能性があります。

施工会社は直接的な罰則がないとはいえ、トラブルに発展したり、顧客からの信頼を失ったりする原因となるため注意が必要です。

参照:国土交通省|マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施~工事を発注しようとする管理組合等が適正な見積りかどうか検討する際の指標となります~

マンションの大規模修繕工事の市場は拡大すると予測

株式会社矢野経済研究所の「プレスリリース マンション管理市場に関する調査を実施 2024年」には、マンションの大規模修繕工事の将来展望が掲載されています。同調査によると、2030年における「マンション管理費市場規模」と「共用部修繕工事市場規模」は、成長する見通しです

マンション管理費市場規模推移・予測と共用部修繕工事市場規模推移・予測

引用:株式会社矢野経済研究所|プレスリリース マンション管理市場に関する調査を実施 2024年「共用部修繕工事市場規模推移・予測」

「マンション管理費市場規模」と「共用部修繕工事市場規模」の予測値は、以下の通りです。

市場の種類

市場規模の予測値

マンション管理費市場

9,764億円(2022年比19.0%増)

共用部修繕工事市場

8,181億円(2022年比42.4%増)

既存マンションの老朽化が進むことに加え、新設マンションも継続的に供給されるため、共用部の修繕工事は今後も増加すると予測できます。

マンションの大規模修繕工事の市場は拡大すると予測できるため、大規模修繕工事に参入することで事業規模を拡大できる可能性は高いといえます。

参照:株式会社矢野経済研究所|プレスリリース マンション管理市場に関する調査を実施 2024年

まとめ

この記事では、大規模修繕工事の内容や目的、注意点について解説しました。大規模修繕工事市場は、今後成長すると予測されています。

大規模修繕工事への参入を検討している方もいるかもしれませんが、元請と専門工事業者との連携が必須です。元請とつながるためには、従来の営業方法に加えて施工会社同士のマッチングサービスも有効といえるでしょう。

販路の開拓や拡大を効率的に行いたい方は、ぜひ案件獲得の場として『スケッタブル』の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

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